松山市立子規記念博物館デジタルアーカイブThe Shiki Musium / Digital Archives
なじみ集表紙

04「明治廿九年俳句稿」

MEIJINIJUKUNEN-HAIKUKO

【資料名】

子規筆「明治廿九年俳句稿」


【資料名読み】

シキヒツ「メイジニジュウクネンハイクコウ」


【作者名】

正岡子規


【作成年】

明治29(1896)年頃


【形状・表装】

和綴本


【寸法】

縦245㎜×横170㎜(綴じた状態)


資料解説COMMENTARY

子規の自作句稿としては最大規模の一冊

資料「明治廿九年俳句稿」は、子規が明治29年に詠んだ俳句をまとめた自筆の俳句稿です。国立国会図書館に所蔵されている子規自選句集「寒山落木かんざんらくぼく」の草稿にあたるもので、季語を四季別・分類(時候・地理・人事・動物・植物など)別に配列し、句集としての体裁を整えています。収録句数は実に3,000句を超え、子規の自作句稿としては最大規模の一冊です。

明治29年は、子規の俳句革新運動が軌道に乗り、日本派(子規派)の俳句結社が全国に現れはじめた時期にあたります。また子規自身の俳句数の面でも、「寒山落木」清書本に記された俳句数は、明治27年で2,366句(抹消句含む、以下同じ)、同28年で2,843句、そして同29年は3,001句に及んでいます(講談社版『子規全集』第2巻解題)。子規にとって明治29年は、自分自身の俳句の上達にとっても、門人たちの活動の面でも、一つのピークを迎えた年でした。

本資料は、もともと明治32年までの4年分の俳句稿と一綴りにされていましたが、昭和20年の終戦後に一年ごとに分けて綴じ直されました。その後、明治31年と同32年の俳句稿は国立国会図書館に収蔵されましたが、明治29年と同30年の俳句稿は長らく行方不明のままでした。現在は、明治29年・30年ともに当館に収蔵され、子規の俳句革新を物語る貴重な資料として保存・活用されています。

「明治廿九年俳句稿」の体裁

01 子規が自ら記したと思われるタイトル。「明治廿九年俳句稿」とあるが、「廿九」は「二十九」のこと。02 子規の蔵書であることを示す蔵書印「獺祭書屋俳句図書」が押されている。本資料が、子規の生前には子規の手もとで保管されていたことを物語っている。03 190枚ほどの和紙をひもで綴じて1冊の帖本に仕上げている。表紙の四隅にはめくれなどの劣化が見られたが、令和4年度に修復作業を実施した。04 表紙には表面の擦れや端の破れの跡などが多く見られ、子規の死後も多くの人が本資料を触り、読んでいたことをうかがわせる。
01 俳句は「春」「夏」「秋」「冬」の四季と「雑」に分類されて記載されている。このページは春の俳句。02 俳句稿には様々な符号が付けられている。「新俳」は子規派の句集『新俳句』、「ほ」は雑誌『ほとゝぎす』、「早」は雑誌『早稲田文学』のことと推測され、それぞれの俳句の転載先を示していると思われる。03 俳句の下に縦の棒線が引かれているが、これも何らかの符号と見られる。あるいは清書本に転記し終えたものであることを示すものか。04 俳句を記すときの体裁は1ページあたり10行の縦書きでほぼ統一されている。ただし俳句の余白部分に様々な評点や符号が付けられており、子規や後世のものが本資料を様々な形で活用したことがうかがえる。
01 俳句によっては、上部の余白に前書を記している。この俳句は「入獄者に贈る」と前書が付けられ「世の中ハしぐるゝに君も痩せつらん」と記されている。02 子規の代表句「いくたびも雪の深さを尋ねけり」が記されている。子規の病床生活を彷彿させる一句。03 このページの俳句には縦の棒線の代わりに大きく「?」が付されたものも見られる。意味するところは不明だが、修正句や清書本に転記しなかった句を示しているものと思われる。
01 子規が自ら記したと思われるタイトル。「明治廿九年俳句稿」とあるが、「廿九」は「二十九」のこと。02 子規の蔵書であることを示す蔵書印「獺祭書屋俳句図書」が押されている。本資料が、子規の生前には子規の手もとで保管されていたことを物語っている。03 表紙には表面の擦れや端の破れの跡などが多く見られ、子規の死後も多くの人が本資料を触り、読んでいたことをうかがわせる。04 190枚ほどの和紙をひもで綴じて1冊の帖本に仕上げている。表紙の四隅にはめくれなどの劣化が見られたが、令和4年度に修復作業を実施した。
01 俳句は「春」「夏」「秋」「冬」の四季と「雑」に分類されて記載されている。このページは春の俳句。02 俳句稿には様々な符号が付けられている。「新俳」は子規派の句集『新俳句』、「ほ」は雑誌『ほとゝぎす』、「早」は雑誌『早稲田文学』のことと推測され、それぞれの俳句の転載先を示していると思われる。03 俳句を記すときの体裁は1ページあたり10行の縦書きでほぼ統一されている。ただし俳句の余白部分に様々な評点や符号が付けられており、子規や後世のものが本資料を様々な形で活用したことがうかがえる。04 俳句の下に縦の棒線が引かれているが、これも何らかの符号と見られる。あるいは清書本に転記し終えたものであることを示すものか。
01 俳句によっては、上部の余白に前書を記している。この俳句は「入獄者に贈る」と前書が付けられ「世の中ハしぐるゝに君も痩せつらん」と記されている。02 子規の代表句「いくたびも雪の深さを尋ねけり」が記されている。子規の病床生活を彷彿させる一句。03 このページの俳句には縦の棒線の代わりに大きく「?」が付されたものも見られる。意味するところは不明だが、修正句や清書本に転記しなかった句を示しているものと思われる。