松山市立子規記念博物館デジタルアーカイブThe Shiki Musium / Digital Archives
八千八声表紙

03「八千八声」

HASSEN-YAKOE

【資料名】

子規筆「八千八声 上」


【資料名読み】

シキヒツ「ハッセンヤコエ」


【作者名】

正岡子規


【作成年】

明治22(1889)年


【形状・表装】

和綴本


【寸法】

縦255㎜×横175㎜(閉じた状態)


資料解説COMMENTARY

ペンネーム「子規(ほととぎす)」にまつわる文献を集めた「八千八声」

子規がはじめて喀血したのは、明治21年7月29日の鎌倉旅行中のことでした。この時の喀血は長くは続きませんでしたが、翌明治22年5月9日、子規は再度喀血し、一週間ほど喀血が続きました。このとき、子規は「鳴いて血を吐く」鳥といわれていた「ほととぎす」を題に「卯の花をめがけてきたか時鳥」など40~50句の俳句を作り、以後自らを「ほととぎす」の漢名である「子規」と号しました。

本資料は、子規が「ほととぎす」をペンネームに用いるにあたって、これまでの故事や文学作品で用いられた「ほととぎす」の例を徹底的に調べたものです。冒頭の「活法大成」では辞書的意味や「ほととぎす」が血を吐く鳥と言われる理由となった中国の故事を引用しています。これに続けて、平安期歌人の家集、勅撰和歌集などから「ほととぎす」が詠まれた和歌のほか、狂歌・筝曲そうきょく長唄ながうた清元きよもと端唄はうた都々逸どどいつや著名な物語・随筆からも一部抜萃しています。

本資料は上巻であり、本来は上・下の二巻で構成されていましたが、下巻は伝来の過程で散逸しました。本資料は完本で保存されてきたものであり、雅号「子規」に深く関係するもので、大変貴重です。上巻だけで163丁にも及び、子規が喀血後も「言葉」に向きあい、根気強く研究したようすがうかがえます。

なお、本資料は上下巻とも『正岡子規全集』第二巻(改造社 昭和7年4月21日刊)に掲載されています。

「八千八声 上」の体裁

01. 163枚の紙を縦に折り、袋綴に仕上げている。使用した紙の大きさや色合いがそれぞれ異なっており、子規が長い時間をかけて作成したことが分かる。02. 表紙には、編者名とタイトルを記す。題の「八千八声」は、ほととぎすが頻りに鳴くさまを表す言葉。下部に蔵書印「獺祭書屋図書」を押す。子規は蔵書だけでなく自筆の草稿類にも蔵書印をよく使用した。
01. ここでは、「ほととぎす(子規)」の辞書的意味を引用している。ほととぎすの別表記「杜鵑」「杜宇」は蜀の望帝杜宇の故事によるもので、ほととぎすが鳴いて血を吐くと言われるようになったのもここに由来する。
01. 「ほととぎす」の異名をまとめたもの。異名は次頁にわたって羅列されており、全部で39種類。難読名には読み仮名が振られている。
01. この頁から、子規が古典籍から収集した「ほととぎす」にまつわる和歌や漢詩、物語を書き連ねている。02. 「浜の真砂」は元禄10(1697)年に刊行のされた江戸時代の歌人・有賀長伯の著作。和歌の用語辞典で、春夏秋冬含め7題に分け、本意・本情・例歌などを記す。子規はこのうち、「郭公」の項目を抜萃している。03. 「浜の真砂」より、「郭公」の用語解説を抜萃している。ほととぎすが見られる季節(4月~6月)を詠んだ歌や、ほととぎすの托卵について詠んだ長歌、ほととぎすと恋を詠む歌、血を吐く鳥としてのほととぎすを詠む歌など、ほととぎすがさまざまな角度から詠まれてきたことが分かる。
01. 163枚の紙を縦に折り、袋綴に仕上げている。使用した紙の大きさや色合いがそれぞれ異なっており、子規が長い時間をかけて作成したことが分かる。02. 表紙には、編者名とタイトルを記す。題の「八千八声」は、ほととぎすが頻りに鳴くさまを表す言葉。下部に蔵書印「獺祭書屋図書」を押す。子規は蔵書だけでなく自筆の草稿類にも蔵書印をよく使用した。
01. ここでは、「ほととぎす(子規)」の辞書的意味を引用している。ほととぎすの別表記「杜鵑」「杜宇」は蜀の望帝杜宇の故事によるもので、ほととぎすが鳴いて血を吐くと言われるようになったのもここに由来する。
01. 「ほととぎす」の異名をまとめたもの。異名は次頁にわたって羅列されており、全部で39種類。難読名には読み仮名が振られている。
01. この頁から、子規が古典籍から収集した「ほととぎす」にまつわる和歌や漢詩、物語を書き連ねている。02. 「浜の真砂」は元禄10(1697)年に刊行された江戸時代の歌人・有賀長伯の著作。和歌の用語辞典で、春夏秋冬含め7題に分け、本意・本情・例歌などを記す。子規はこのうち、「郭公」の項目を抜萃している。03. 「浜の真砂」より、「郭公」の用語解説を抜萃している。ほととぎすが見られる季節(4月~6月)を詠んだ歌や、ほととぎすの托卵について詠んだ長歌、ほととぎすと恋を詠む歌、血を吐く鳥としてのほととぎすを詠む歌など、ほととぎすがさまざまな角度から詠まれてきたことが分かる。