松山市立子規記念博物館デジタルアーカイブThe Shiki Musium / Digital Archives
山吹の一枝表紙

01「山吹の一枝」

YAMABUKINO
HITOEDA

【資料名】

子規・新海非風小説原稿「山吹の一枝」


【資料名読み】

マサオカシキ・ニイノミヒフウショウセツゲンコウ「ヤマブキノヒトエダ」


【作者名】

正岡子規 新海非風


【作成年】

明治23(1890)年


【形状・表装】

折本


【寸法】

縦278㎜×横188㎜(閉じた状態)


資料解説COMMENTARY

子規と新海非風の合作小説・「山吹の一枝」

本資料「山吹やまぶき一枝ひとえだ」は、子規と子規の友人・新海非風にいのみひふう(正行)が交互に執筆した小説です。形態は折本で上下巻に分かれており、上巻は37折、下巻は48折です。表紙には子規の蔵書印である「獺祭書屋図書だっさいしょおくとしょ」の角印が押されています。

「山吹の一枝」の主人公は紀尾井きおいという男で、モデルは友人の五百木いおき飄亭ひょうてい(良三)と言われています。明治23年、当時学生だった子規と非風、飄亭は下宿していた常盤会寄宿舎ときわかいきしゅくしゃで紅葉会という文学の会を結成しました。紅葉会では、寄宿舎の学生を巻き込んで詩や歌、俳句や都々逸どどいつ、小説などを盛んに作り、回覧雑誌『つづれの錦』を作成しています。またこの頃、子規は坪内逍遥の『当世書生気質とうせいしょせいかたぎ』や幸田露伴の『風流佛ふうりゅうぶつ』に触発され、小説に対する熱意が高まっていました。

本資料の作成年代は、モデルの飄亭が子規と出会った明治22年の秋以降、非風が軍に入営して常盤会寄宿舎を離れる明治23年12月以前と考えられます。飄亭は、当時のことを回想録「夜長のあくび」で、「三人で合作小説を日課にして一日に十枚ずつ必らず書く」こととしていたと振り返っています。「山吹の一枝」も、こうした青春時代に生まれた作品であり、若き子規の小説への憧れと、仲間との文学熱の盛り上がりが感じられます。

「山吹の一枝」の体裁

01. 中心で縦に折られた跡がある。元は83枚の和紙を縦に折り袋綴にしてひもで1冊に仕立てていたものと考えられる。汚れや焼けは表紙のみで、本文の頁には少なく、保存状態が良い。02. 蔵書印「獺祭書屋図書」を捺している。子規は蔵書だけでなく自筆の草稿類にもこの蔵書印をよく使った。
01. 最初のページには「山吹の一枝」とタイトルが記されている。下に「花ぬす人稿」とあるが、「花ぬす人」は子規のペンネームの一つで、類似のものに「盗花」などがある。第一回は子規の担当で、タイトルは「大身の代診」。回ごとに作者が変わり、非風が担当した回には「非風稿」とある。子規と非風が交互に小説を書いていたことが分かる。02. 主人公「紀尾井」が診察をしている場面。モデルとされる五百木飄亭は医学校に入学し、医術開業試験に合格していた。また、第三回には紀尾井が俳句を詠む場面があり、俳号「隠居」を用いる。これは、飄亭の俳号の一つでもある。03. ところどころに朱線を引いている。朱線は主に地名や人名などの固有名詞や、主人公「紀尾井」のプロフィールに関わる記述に多く、子規と非風が交互に書き継ぐため、齟齬がないように重要情報をマーキングしたものと考えられる。
01. 誰の会話か分かるように、台詞の上に人名を記している。02. 第7回は子規が担当。紀尾井が下宿先の仲間とベースボールに興じる場面を書く。バットとボール、帽子など道具が描かれている。子規がこの場面を活々として書いたことが伝わる。
01. 中心で縦に折られた跡がある。元は83枚の和紙を縦に折り袋綴にしてひもで1冊に仕立てていたものと考えられる。汚れや焼けは表紙のみで、本文の頁には少なく、保存状態が良い。02. 蔵書印「獺祭書屋図書」を捺している。子規は蔵書だけでなく自筆の草稿類にもこの蔵書印をよく使った。
01. 最初のページには「山吹の一枝」とタイトルが記されている。下に「花ぬす人稿」とあるが、「花ぬす人」は子規のペンネームの一つで、類似のものに「盗花」などがある。第一回は子規の担当で、タイトルは「大身の代診」。回ごとに作者が変わり、非風が担当した回には「非風稿」とある。子規と非風が交互に小説を書いていたことが分かる。02. 主人公「紀尾井」が診察をしている場面。モデルとされる五百木飄亭は医学校に入学し、医術開業試験に合格していた。また、第三回には紀尾井が俳句を詠む場面があり、俳号「隠居」を用いる。これは、飄亭の俳号の一つでもある。03. ところどころに朱線を引いている。朱線は主に地名や人名などの固有名詞や、主人公「紀尾井」のプロフィールに関わる記述に多く、子規と非風が交互に書き継ぐため、齟齬がないように重要情報をマーキングしたものと考えられる。
01. 誰の会話か分かるように、台詞の上に人名を記している。02. 第7回は子規が担当。紀尾井が下宿先の仲間とベースボールに興じる場面を書く。バットとボール、帽子など道具が描かれている。子規がこの場面を活々として書いたことが伝わる。