資料解説COMMENTARY
郷里松山の人びとへの子規の俳句指導を物語る
本資料は、子規が郷里松山の俳句結社である
松風会は、
本資料の中で特に興味深いのが、「注意」と題する講評の部分です。例えば、「初秋」という季題は「秋風」や「初冬」と混同されやすいため、「初秋」で句作したときは「初秋」の語を「秋風」や「初冬」に置き換えて吟じてみて、本当に「初秋」がよいと思ったら初めて「初秋」に確定しなさい、とアドバイスしています。また、一つの俳句の中に初秋を表す言葉が重ねて使われている作例も指摘し、同じ言葉の重複は句の「タルミ」を生むから注意するように述べています。
子規から郷里松山の人びとへの、熱のこもった指導ぶりがうかがえる、大変貴重な資料です。